会長挨拶
- 第24回日本低侵襲脊椎外科学会
会長 竹内 一裕
国立病院機構 岡山医療センター
このたび第24回日本低侵襲脊椎外科学会 JASMISS を、令和3(2021)年11月25日(木)と26日(金)の両日に、ステーションコンファレンス東京(JR東京駅日本橋口直結)にて開催させて頂くこととなりました。我が国の脊椎低侵襲手術をリードしてきた本会を担当させて頂くことを、大変光栄に存じます。
今回のテーマは「1st Quarter を終えるにあたり」とさせて頂きました。
『一年之計莫如樹穀、十年之計莫如樹木、終身之計莫如樹人』 (一年の計は穀を樹えるに如かず。十年の計は樹を樹えるに如かず。終身の計は人を樹えるに如かず。)とは、春秋戦国時代の宰相・管仲からの君主・桓公への進言です。この『国家百年の計』は、次世代を担う人材育成に注力することの大切さを説いています。本学会も24回を重ね、1st Quarterから2nd Quarter、次世代へとバトンタッチを成すことを、今後100年(永続的に)継続した学会員の教育および情報交換の場となることを祈念しております。
テーマ「1st Quarter を終えるにあたり」は、これまでの経験の解析 / 現在の立ち位置の確認 / 今後の展望を見据えたものとなりますが、より具現化するきっかけとして、サブテーマを2点挙げさせて頂きます。
- ①Digital Spine:我々を取り巻く技術革新は目覚ましく、かつて先人がなし得なかった診療や手術技術を、誰にでも平易に体現することが可能となってきました。CTまたはMRIをベースとした術中ナビゲーションなどコンピューター支援技術(CAOS)は、低侵襲性はもちろん、安全な対応を可能としています。加えて、AI を用いた診断やVR・ARを用いたシミュレーションは、実際の臨床はもちろんのこと、教育にも大きな影響を与えています。これらテクノロジーの実際を披露して頂きたいと思っております。また、今後の展望として、わが国でも現実となったリモート手術やロボット手術について、セキュリティーや施設基準などその導入に向けて、必須な情報を提供いただくことにしております。
- ②My favorite things:これは、私の好きな言葉ですが、新技術の萌芽は、我々の外科医の興味や試みにあります。どうぞ、皆様の新たなアイデアや従来の手技に加えた工夫、ちょっとしたコツなどをご披露ください。また、新技術に接し、その感動・衝撃について、導入時の困難の克服やその伝承・教育、チームビルディングについて、ディスカッションを深めていただきたいと思います。
もとより外科医の低侵襲追求の努力は、今に始まったわけではありません。外科医なら誰しも、手術創や展開の微小化や手術時間の短縮に心を砕いていたはずです。ただ、その流れは、昨今の診断・手術技術の進歩や産業界の技術革新により支えられ、いっそう拍車がかかっております。
本学術集会の最も大きな目的は、これら情報・技術の次世代へのパスです。一発を狙ったタッチダンパスとはいかないまでも、攻撃権を維持するファーストダウンを目指したパスを、積み重ねていきたいと思っております。そして、脊椎低侵襲手技のさらなる発展に益することが出来ましたら幸甚に存じます。
昨今、COVID-19による不穏な時期が続いておりますが、そのような不透明な中においても我々の変わらない、たゆまない努力を表現し、共有していきたいと思っております。もちろん安全に十分配慮した会を開催したいと考えておりますので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。多くの先生方ご参加を心よりお待ち申し上げております。
最後となりますが、終わりの見通せないCOVID-19の感染の中、診療、教育あるいは研究にご苦労をされていることと思います。先生方におかれましては、ご自愛のほど心よりお祈りしております。